BOØWYの記録

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【『氷室京介』見事優勝】1979年XX月XX日 文化放送『全日本ヤング選抜スターは君だ 第26回本選大会』 寺西修

氷室京介

オーディションの日々

1979年3月の高校卒業と同時に寺西修(氷室京介)、松井恒二(松井恒松)、菊地篤(諸星アツシ)らが在籍していた『デスペナルティ』は解散。

松井は東京の会社に就職、寺西も東京でオーディションを受ける日々を過ごします。

一度、東京の会社に就職しました。
寮生活だったからいくらか貯えることもできて、半年後に群馬に戻ったんです。

-氷室さんはずっと地元にいたんですか?

いや、彼も東京にでてきていて、いろんなオーディションを受けたりしていました。

出典:『記憶』 松井常松

『全日本ヤング選抜スターは君だ 第26回本選大会』

氷室「え、28番、寺西修です。」

みのもんた「28番って予選の時が28番だったんだよね。そう、そうよね、本選は2番だもんね(笑)」

氷室「(笑)2番!寺西修です。」

みのもんた「はい!」

氷室「『宿無し』を歌います。」

みのもんた「はい、どうぞ!」

『宿無し』世良公則&ツイスト

みのもんた「ほ~!」

氷室「どうも~。」

みのもんた「あれだね~、寺西さんは、相当歌、歌ってるでしょう、どお?」

氷室「ロックバンドを地元でやってまして。」

みのもんた「あ、高崎の方じゃ?」

氷室「はい。」

みのもんた「高崎のロックバンド、なんていうバンドやってんの?」

氷室「『デスペナルティ』というんですけど。」

みのもんた「『デスペナルティ』!」

氷室「あっ、知ってますかね~?」

みのもんた「何を聞いてるんだ(笑)、そうですか~、で~そのロックバンドはどうしちゃったの?今もやってんの?」

氷室「いや、卒業したんで、解散しまして。」

みのもんた「解散しちゃった。」

氷室「色々惜しまれたんですよ。」

みのもんた「へへへへ、誰に惜しまれたの(笑)」

氷室「え、なかなかどうして、地元の人に。」

みのもんた「あ~、地元の人にね~。しかしあなたって頭のテッペンからつま先まで、全部こうノリで固めてツッパったような雰囲気ですね。いつもそういう感じなの?」

氷室「えぇ、そうですね~。」

みのもんた「あ~そ~でもね、喋ってるとこうなんか顔がパーッと赤くなるようなね。審査員のみなさんが一生懸命喋ってるんですけどもね。何言ってるのか我々には聞こえませんけれども。さあ、では判定はどうでしょうか。」

『かまやつひろし』からのダメ出し

みのもんた「すげ~!XXXXXおめでとう、やるね~!目一杯ツッパった、なんか顔がひきつってきましたね。」

氷室「はい。」

みのもんた「ど、どうしちゃったのよ?」

氷室「えぇ、急に。」

みのもんた「急にね。」

氷室「嬉しさが(笑)」

みのもんた「うれしさが急に(笑)」

氷室「嬉しいです。」

みのもんた「ね~、合格おめでとうございます。今、首からかけてもらったのが、これがもう、あれですから、まず、優勝の金メダル。そしてお渡ししたこの資料がですね、あなた東京の『モンテミュージックスクール』でこれからね、9月16日の決戦大会まで、歌手の勉強をおおいにしていただこうと、こういうわけですから。ね~。よかった~本当に。さ、それではですね、これからいったいどういうところを注意して勉強したらいいのか、ちょうどいい、あなたバンドやってたしね。え~、シンガーソングライターのかまやつひろしさん。えっ、どのへんをこれから勉強しなくちゃいけないか。」

かまやつひろし「え~、一番最初に見たとき、結構ツッパってんのかなと思ったら、この厳しい東京で(笑)こう手探りで生きてる、物腰の弱さみたいなものもあって(笑)愛せる部分もあるんだけど。あの~、ともするとそれはちょっとオカマみたいだな~、みたいな~繋がる場合もあるので。」

氷室「はい。」

かまやつひろし「もう少しなんか、その(笑)ツッパることと別に、ちょっと男っぽいところを見せたほうがいいんじゃないかと。それと~、あの~、流行りのものを着れば何でも格好良いという思想は捨てたほうがいいような気がして。つまり、その~、君が着てるそのハーレムパンツ、その~コスチュームは今流行りのもんなんだけど、なんかちょっと、ひとつこの~着こなしが(笑)ちょっとね~工夫が欲しいです。え~、その美的感覚をもうちょっと養ったらもっと格好良く着こなせんじゃないかなと思うんです。え、それで、ルックス俺かなりいいんじゃないかなと思ってね、20でね、え~矢沢永吉もビックリなみたいなところもあると思うんです。それであの~、リズミカルですよね、なかなかこの右足の羽が。」

みのもんた「今も気をつけちゃってますからね、チャップリン真っ青の靴みたいな履いてますけど、今日は(笑)気をつけが、気をつけが実にいいんですよ、え~。」

かまやつひろし「あの、すごいリズムに乗る人だと思うんですよね、音が出だすとこう右足が活動し出すでしょ。」

みのもんた「でも、それだって必要でしょ?なんかこう・・・。」

かまやつひろし「なんか、そこ、そこから出てきてるって感じますんで、非常にいいと思うんです。」

みのもんた「歌自体・・・。」

かまやつひろし「歌自体ね、あの~う、上手いんですけど、先ほど審査員の皆さんと色々お話したんですけど、この、あの~世良君の『宿無し』っていうやつは、誰でも上手く歌える歌らしいのね(笑)だから、他の人の歌も聴いてみたかったんですよね、実はね、それで聞くところによると柳ジョージなんかも歌うんでしょ?」

氷室「はい。」

かまやつひろし「で、色んな歌を聴いてみたかったんですけど、でも、本質的に歌の上手い人じゃないかという意見でした。」

みのもんた「うん、なるほどねぇ。」

かまやつひろし「ですから、あの~、がんばっていただけると、いいんじゃないかと思いますね。」

みのもんた「はい、かまやつさんでした、どうもありがとうございました。ねっ、おめでとうございます、がんばって下さいよ。」

氷室「ありがとうございます。」

みのもんた「まずは優勝でしたね、はい、寺西修さんでした。『全日本ヤング選抜スターは君だ 第26回本選大会』、お知らせをはさんで後半の模様をお送りしましょう。」

数ヶ月後、地元に戻った寺西は、同じく会社を辞めて地元に戻った松井らと『デスペナルティ』を再結成し、アマチュアロックコンテスト『East West '79』に出場する事になります。